帰宅後、久々に本棚から「文体練習」を取り出して、読み返してみる。
こ の本は1つのとある日常風景を、"メモ風""複式記述風""控えめ風"など99通りの異なる文章で綴っている本。このように説明してもおそらくはその面白 さは伝わらないと思うので、街の本屋やあなたの住む土地にある図書館などで見かけることがあったら一度手にとってページをめくっていただきたく切に思う。
1つの事柄に対してスタイルを変えて文章を書くという行為は、ともすれば手先で言い回しを変えるだけに見えがちだけれども、実のところ、それ以上に豊かで知的でユーモアのある行為であることがわかると思うのです。
レーモン・クノーというと「地下鉄のザジ」の著者として有名だと思うのだけれど、自分の中では完全に「文体練習」の著者としての認識のほうが圧倒的に強いです。
この「文体練習」はコミック版にアレンジされた「コミック 文体練習」という本も後に発刊されていて、自分はこちらの方はまだ読む機会に恵まれていないのだけれど、いずれ読んでみたく思っている次第。
あと、この「文体練習」の訳者、朝比奈弘治氏の訳の仕方が粋で素晴らしいことを最後に付け加えておきます。

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